「iinaのVEGANヴィーガンとは?」
「思想」でも「ダイエット」でもない、新しいスタイルのヴィーガンを貫くヴィーガンフードクリエイターのイイナさんの連載エッセイが始まりました。
ヴィーガンフードクリエイターとして雑誌やお教室で活躍する彼女の食やお料理に対する姿勢をお話いただきました。
みなさま初めまして。iinaと申します。
知っているよ、という方もこちらでは初めましてなのでこのようにご挨拶させていただきます。菜食料理家、ヴィーガンフードクリエイターという肩書きを名乗らせていただいています。毎回小さなテーマに沿って、私目線で書いていきたいと思っています。何卒、正しい・正しくないということではなくiinaという一人の人間がどんなことをしているのか・どう考えているのかを読んでくださったみなさまに面白がっていただければ幸いと思っています。
今回は連載1回目ということで、私がこのような肩書をもって、何をしているのか・そもそもヴィーガンって「私にとって」どういうものかといったところをお話ししていきますね。
ワクワクが止まらない。食べ物という存在。そしてヴィーガンという選択。
まず最初に。私は食べ物という存在が大好きです。グロッサリーストアでウロウロして見るだけ見て何も買わないこともざらにあります(お店の方、ゴメンなさい)。加工品もどのようなものでできているのか、何が入っているのか、どのように構成されている食べ物なのかを見て分析することに面白さを感じていて、誰に頼まれるわけでもなく、仕事だからと言うよりはワクワクするので積極的に足が向かってしまっていると言っていいと思います。それは俗に言うヘルシーな食べ物だけに対することだけではないのです。
私は幼い頃から穀物・野菜が大好きで、そこに好き嫌いはなく、寧ろ子供の好きの代名詞である、お肉を始めとする動物性のものに苦手意識がありました。誰に諭されたとか環境がそうだったとかでは全くなく、「美味しくない」と素直に自分が感じたものは食べたくないという感情に従ったまでです。
動物性だから嫌いなのではなく、自分が美味しくないと思うから好きではないのです。植物性のものでも美味しくないと思ったら食べません。実際全く食べられなかったわけではなく、美味しく食べられるものもあるし、それは無理、というような感じでどちらかというと野菜中心の料理をより好む、といった状態で今の今までその食スタイルは変わっていません。
ヴィーガン(VEGAN)は「完全菜食主義」と訳されます。もともとはイギリスで動物愛護の精神から、動物を殺してまで肉を食べない・製品を作らず使用しないといった思想が生まれました。ヴィーガンフード、とは簡単に言うと動物性(肉魚卵乳製品などの動物由来)のものを全く使用していないものを指します。ヴィーガンという言葉はストイックで修行僧のような、タブーを冒してはならない、ある種の宗教のようなものを感じている方もたくさんいらっしゃるでしょう。そこに葛藤を持ってしまっている人もたくさんいるのも知っています。
よく、「iinaさんはいつからVEGANになったのですか?」と訊かれますが、私は「VEGANにまだなっていませんしなる予定も今のところありません(笑)」と答えています。「えっ!」とびっくりする方もおられますし、「よかった〜、そうですよね。私もそうです。」と共感してくださる方もいます。
それではなぜ私が菜食料理家、そしてヴィーガンフードクリエーターとして存在しているのか。面の皮が厚いヤツだな、と思われても仕方ない、と腹をくくっております。笑
表現をする方法としてのヴィーガンフードと新しい形のVEGAN
私はモノを作ることも大好きです。自分を表現する方法として「料理」という手段を選びました。これについてはまた後の回でお話しすることもあるかもしれません。そこで使う「道具」として野菜や穀物を代表とする植物性の食材を選んだだけ、というシンプルなことです。理由は好きだから・ワクワクするから・美味しいと思うから、です。それは動物愛護の精神やヘルシーで体に良いからといった思想はベースにはなっていません。それは2の次3の次で、基準は自分が美味しい、面白いと思うから、それだけです。動物性を食べている人や好んでいる人を悪いともこれっぽっちも思いません。というか私も頂きますし。。笑
もちろん、ヴィーガンフードをクリエイトする人間として自分の作る料理・提案させていただく料理に関しては一切動物性のものは使用しません。そこはきちんと線引きと枠を持って表現をしています。本当に完全菜食主義の人にも信頼していただけるものを作っています。それに野菜や穀物を好みながら食に対してフラットに見られる自分だからこそ、美味しいものが作れるという自負もあります。
また、色や存在、作るものの裏にあるストーリーが作品には表れると感じているので、その部分を自分の中ですごく大切にしているつもりです。
ゆえに創造性をもってレシピや食べ方や食材の使い方を生み出し、それでデザインしたり人を楽しませる「クリエイター」、横文字に馴染まない方にわかりやすいように「料理家」と名乗らせていただいています。が、これはあくまでも標識のようなものであって、皆さんの思うようにiinaという人間を認識していただいていたら、これ以上押し付けがましい肩書きで納得させるようなことはしたくないというのが本当の気持ちです。
ナチュラルでできる限り手を加えず季節や気候、自然に従った食材選び、俗に言うオーガニックの精神にも共感しますし、また、伝統的な味噌や梅干しに見られる日本特有の調味料や保存食を愛し、知り、伝えていくいうことは日本人として生まれたからこそ知れる特別なことだと感じています。それを大切に面白く伝えていくことも新しい食文化と伝統的な食文化の混ざり合いを作っていけるのも私らしいな、と思っています。
私のVEGANは本来のVEGANというところから少し、かけ離れてしまっているのかもしれません。
私の作るVEGANFOODとはただ、植物性の食材だけでも美味しく美しく、皆が楽しめてイタリアンやフレンチといった料理と同じように、野菜だけで作る料理という一つの料理のジャンルだと思っていただけたらとても嬉しいです。
VEGANという言葉ではなく、植物性だけの料理を指す新しい言葉、何か作れないかなあって今、探しているところです。
読んでくれてありがとうございます。次回は「ヴィーガンフードに出会ってから」をテーマに書く予定でいます。
また、お会いしましょう!
Iina
次回のiinaさんの連載予定は9月10日頃になります。
是非、お楽しみに。
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