コラム&エッセイ

チョコレートは ” 甘いもの “ じゃなかった。

▼ 前回のエッセイ
「Feel the Magic! Cacao∞Magicが語るローチョコレートのお話。」

私が初めてカカオを知ったのは、ハワイ島に滞在中、同じ家の住人が食べていた、ヨーグルトにローカカオとローハニー、ゴジベリーを混ぜたものを朝食として分けてもらった時のことです。
 
チョコレートというと「スイーツ=甘いもの」というイメージを持っていましたが、このようにして食べるローカカオは、甘いものというよりは、苦いもの。シンプルに「美味しい」と思いました。

実は私、甘いものは苦手で、洋菓子のクリームも、和菓子のあんこも、ダメなんですね。だから、この時味わったカカオが、甘くなくてすごく美味しいと感じました。チョコレートの味と苦味と香りがするけれど甘くない。そしてそれが<ローカカオ>といって、とても栄養価の高い「スーパーフード」ということを知ることになるのです。

そこで、自分でも手に入れたいと、ハワイ島でスーパーフードを扱う人の所へ、カカオを買いに行くことにしました。半日かけてたどり着いたのは、生粋のローフーディストが暮らすコミュニティ。

ジャングルの中に部屋を作り、半分外で暮らしているような場所で、まさに自然と共にある、地球と共に生きる生活がそこにはありました。屋外のシャワー、ドアのないトイレ、それが肥料となる畑という循環。

そこに滞在させてもらった十日間、私は100%ローフードの食事をし、みなさんと生活をすることによって、細胞から生まれ変わったように元気になり、人々とのオープンな関係に馴染み、ローフードのライフスタイルを体験しました。
 

それから半年後、ローフーディストが世界から集まるフェスがあると知り、アメリカ中西部のアリゾナ州・セドナへ向かうことになります。その頃日本ではローフードの情報は乏しく、その世界を知るために、学ぶために、迷わずセドナへ向かったのです。

そのフェスでは、ローフーディストがどのような人々で、どんなことに興味を持ち、どんな風に人と接しているかを知ることになりました。瑞々しく、輝きを放つ野菜やフルーツのように、生き生きとした優しいエナジーをもつ人ばかり。天使のような人が世界中から集まってきた、夢のようなフェスでした。

「自然でいること」とは、ものごとを偏見なく純粋に見つめる目と、相手や状況を柔軟性をもって受け取ることのできるフレキシブルさを持っているということのように感じています。

セドナで、私はローチョコレートと出逢います。

これまで食べたことのあるローチョコレートは、大味で、もそもそとしていて、私の口には合わなかったのですが、セドナのショコラティエによるローチョコレートで初めて、美味しいということ、そして一粒にこめられたスピリットやカカオのパワーを感じました。チョコレートの形をしている、特別なもの。 

何度かセドナを訪れて、長期滞在する中で、そのチョコレート職人は、私にローチョコレートの作り方を教えてくれました。旅から帰国して、ローチョコレートを作った時、セドナで出逢った人々がローチョコレートを特別なものとしてシェアしていたように、友人の集まる場に持って行っては、色々な人とシェアするようになりました。

ローチョコは大好評で、最初はプレゼントしていたのですが、「注文できる?」「私の店に置かない?」「次のヨガクラスに売る分を持ってきて」というように、皆から言ってくれたので、要望に応えるようになりました。 

友人に「ブログで販売してみたら?」と言われたので、言われたように載せてみたら、思った以上に注文を沢山いただいたり、ローチョコを置いてもらったお店に「スイーツ特集」の取材が来て、ローカル誌に2ページ特集されたことで地元の人々に知られるようになって、作っても作っても売り切れるようになりました。
 
ヨガクラス後の販売も好評で、ヨガスタジオStudio Lotus8 の方から「今度ローチョコレートのワークショップをやりませんか?」とお誘いをいただいて、講師になりました。

そうやって、いただいたお話に応えていくうちに、いつのまにか「ショコラティエ」となっていて、私自身が「ショコラティエ」として知られるようになっていったのでした。

場所が必要だったので、最初は友人の許可付きのキッチンを借りて、お店閉店後の夜9時から朝の始発まで使わせてもらっていたのですが、そろそろ自分の場所が必要と感じていた時に、たまたま出身地京都の素敵なカフェがクローズしたということを知り、友人伝いで大家さんに紹介してもらい、その場で借りることが決まり、今の Cacao Magicがあります。


 
駆け足でお話しましたが、この10年間の間に、ローフードを知り、ローチョコレートに出逢い、 ショコラティエとなり、お店ができました。

そして、現在の新たな活動として、これまでの10年の経験が詰め込まれた<ローチョコレート・アルケミスト>「ショコラティエ養成講座」を11月より開講します。ローチョコレートを作りたい!という方にローチョコレートの基本からCACAO∞MAGICのスピリット、私が今まで培ってきたローチョコレートの全てを皆様におすそ分けできればと思っています。

 

始まりは「一粒のチョコレートを作る」ということから。その先は、言われたことに応えていくだけで、道が開かれて、お店ができるまで、このようになってきたのです。その一つ一つは魔法のように、私をここまで連れてきました。
 
自分の意思というよりも、カカオの意思がそのように私を導いたように感じています。 
 
神々の食べ物 カカオを扱う ローショコラティエは、カカオに遣える神官のような存在。

だからこそ、守られ、導かれているのだと。

 
 
<ローチョコレート・アルケミスト>ショコラティエ養成講座
http://cacaomagic.exblog.jp/27387121/

 
 

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