コラム&エッセイ

Feel the Magic! Cacao∞Magicが語るローチョコレートのお話。

Cacao Magicのショコラティエであり、オーナーである松田すみれさん。ローショコラティエとして活躍する彼女が出会った神聖なカカオ。ローチョコレートに魅了され続けている彼女自身が、ローチョコレートについて語ってくださいました。

こんにちはCacao Magicの松田すみれです。

ローチョコレートについて、これから連載でエッセイを書かせていただくことになりました。第一回目は、「ローチョコレート」について、お話したいと思います。

2008年にハワイ島でローフードを知り、セドナでローチョコレートに出逢い、ローチョコレートを作り始めてから、10年が経とうとしています。

その頃日本では、まだローチョコレートの専門店は無かったので、栄養価が高く、カラダにプラスになる、スーパーフードとしての「ローチョコレート」を多くの方に知ってもらいたい!ということ、そして、既存のチョコレート界に新しい風を吹き込むことになるのでは?ということにワクワクしていました。 

ローチョコレートの「ロー」は「RAW」=「生」という意味で、ローフードの考え方から生まれたチョコレートです。

チョコレートの原料は<カカオ>。

世界中の食べ物の中で、最も栄養価の高い食品群を称して「スーパーフード」と言いますが、カカオはそのスーパーフードの中でもトップに入るエリートですから、栄養まるごといただきたいものです。

でも実は、みんなが大好きな「チョコレート」は、カカオの栄養のことなどちっとも考えられていないのです。

カカオの歴史

カカオの歴史は、遡ること紀元前2000年頃より確認されていて、古代マヤ文明・アステカ遺跡の土器や壁画などに描かれていることや、様々な「儀式」の場面で使われてきたことなどから、後に「神々の食べ物」と名付けられたように、神聖なもので、大切にされ、特別なものとして扱われてきました。

その後、1800年代に「チョコレート」が登場するまでの長い間、カカオは美味しいとはなかなか言い難い、「苦い飲み物」という形で飲まれてきました。カカオの栄養価の高さ、薬効的効果、そして植物のもつ精神性が、人間の身体だけでなく、スピリットに与える影響というものを、当時の人々は感じていたからこそ、美味しさとは別のところで好まれていたのでしょう。

そうして、数千年の時を経て、コロンブスが航海の途中でカカオを発見し、スペインに持ち帰ったのが1502年。とても貴重で高価なものであったため、カカオを入手することは、王族や貴族の特権でもあり、秘密にされていた時代もある様です。

時を経て、1850年頃に、初めて「チョコレート」が作られました。それまでの、ドリンクとして飲まれてきた歴史に比べると、まだたったの数百年の歴史です。それから近年までヨーロッパで発展してきたチョコレート文化は、砂糖やミルクと合わせられ、製造機械の発明によってなめらかな舌触りと口どけの、美味しい嗜好品として広く愛されるようになりました。

しかし、チョコレート文化では、美味しさや流通や保存といったことが優先されたため、カカオ豆は焙炒、高温での処理、身体の負担になるほかの材料と合わせられるなど、先述の、古代からのカカオのスピリットや栄養といった、カカオに本来備わっている「神々の食べ物」である由縁が忘れ去られてしまったように感じます。

新たなカカオのムーブメント

2000年代に入って、オーガニックやホールフードという食に対する意識が高まってきたアメリカで、<ローフード>が全盛期を迎えるようになります。ローフードとは、野菜や果物といった、生きているものの酵素、栄養、生命力を最大に摂り入れるために、48℃以下を守って用意する食事法。そのローフードの考え方から<ローチョコレート>が生まれました。

カカオ豆を焙炒する工程がチョコレ−トを作る上で大切にされてきたため、誰も考えもしなかった、全工程48℃以下で作るチョコレートを、ローフーディストが生み出したのです。

食べ物の素材を最も栄養価の高い状態で食べようとする想いから、カカオを高温で焙炒することなく、シンプルにカカオを楽しむことには不必要な、カラダにとってマイナスになるものを排除したのが<ローチョコレート>。

美味しさ優位のこれまでのチョコレートが忘れていた本来の「カカオ」を思い出させてくれるのです。

忘れ去られていたカカオのスピリットを呼び覚ます

<ローチョコレート>は、現代の技術を取り入れて「美味しさ」を追求し、古代の人々が大切にしてきたカカオのスピリットも、栄養も、生命力も大切にしています。

両方の良いところを取り入れて進化した<ローチョコレート>は、カカオの歴史上最先端にあり、その物語はまだ始まったばかりです。

わたしの言葉で言うと、<ローチョコレート>とは、古代から”神々の食べ物” と言われてきた「カカオ」という植物のスピリット = 精神性と人々をつなぐ魔法の食べ物です。

そしてその体験を届けるのが私たち<ローショコラティエ>の使命だと、思っています。

Feel the Magic, Be the Magic.

松田すみれ

 
 

presented by
LIVING LIFE MARKETPLACE