コラム&エッセイ

ヴィーガンフードの醍醐味

▼ 前回のエッセイ
「今日の歩みが明日のiinaを作る。」

みなさまいかがお過ごしでしょうか?だいぶ寒くなってきましたね。早いもので、今回で4回目のエッセイとなります。第1回から読んでくださっているみなさまには、私の自由なヴィーガンというものへの考えをわかっていただけていると思います。今回は私が思う、ヴィーガンフードの面白さや魅力について書きたいと思います。

ヴィーガンフードって難しいもの?ストイックなもの?

はい、ある視点から見るならば、そう思います。動物性食品(肉魚卵乳製品など)を全く使わないで料理するからです。もともとは動物愛護の精神から生まれたヴィーガンですが、現在の日本ではダイエタリーヴィーガンといって「美容や健康目的で動物性食品をたまに避ける」といった枠のゆるいものとなっているのは事実です。

ただ、ヴィーガンは動物愛護やアレルギー、そして宗教に至るまで様々な個々の理由によって実践されていることを忘れてはいけません。ですので、ヴィーガンフードというものは、作り手が、ちょっとだけならいいや、といった安易な気持ちで食材を選ぶことは許されないと思います。(食べる側はいいと思うけどね。自分がどのように選択するかは自由だし。)

私が幼い時、精進料理を作っているお坊さんの番組が流れていました。何かうなぎに似せたり肉に似せたり一生懸命こねくり回して油で揚げたりしているのを観て、こんな感想を持ったことがあります。

「精進って言っといて、めっちゃ肉食べたいんじゃん(笑)。それって全くもって煩悩まみれだし、精進してないじゃん」

そうなんです、人間って煩悩まみれだと思うんですよ。だって蜜の味を知ってしまったら欲しくなる。だって美味しいと思ってしまったんだもの。欲というのは本能だとも思いますし。

が、ピュアな心だったとき(!)は素直にそう思いました。というか、今もその気持ちは基本的には変わってないのですが。。

今ではヴィーガン料理を知るほど、作るほどに、料理としての難しさやそれに相反する手軽さ、ユニークさに魅了されて、仏教でいう「殺生しない」という信念のもとに、禁欲的に作られた精進料理をとても興味深い文化だと感じています。

そんな懐疑的な感情を持っていたことのある私が、今はその精進料理のようなものを積極的に作っているのですから笑えます。

以前にも書いたのですが肉が食べたいから作るというよりは、ヴィーガン料理の可能性の大きさにとてつもない面白さを感じているから作っていて。これをこうするとこんな味になる、こんな風に調理するとこんな食感になる、と広がりが尽きないのです。

これも使えないあれも使えないけど、これではどうだ?とか思考を張り巡らせるもの楽しいですし、困難の上に成り立つものに最高の驚きと面白さを感じています。

小難しい話は置いておいて、もっと自由な気持ちになれるヴィーガン料理を追求していきたいのです。

ここから、私が出会った、いや自ら会いに行ったと言ってもいい、面白かった海外のヴィーガンフードを紹介してみようと思います。

タイのプーケットで毎年10月に開催される、キンチェーという、ベジタリアン(ヴィーガン)フェスティバルに2015年に参加した時のヴィーガンフードにとてもインパクトがあったので。

簡単にキンチェーについて。タイで国を挙げて行われる、文化的な菜食主義のお祭り。もともとは中国系の人々に由来するので仏教のお祭りです。世界の祭りの中でもとりわけ「奇祭」と呼ばれていて、詳しい内容は個人的に調べていただけたらと思います。(閲覧注意、痛々しいものが苦手な方はご遠慮頂いた方がよろしいかと思います)

キンチェーの期間中は、ヴィーガンを示す、「チェー(เจ)」と書かれた黄色に赤字で書かれたお店やフードで溢れかえります。スパイシーでハーブの効いたタイ料理が大好きな私はそれはそれは見ているだけで楽しかった。左下に見えるイカのようなものはこんにゃくで、こんな感じ(下)で屋台でも売られています。

お魚もどきのレモングラスとチリ炒め。見た目のクオリティがすばらしい。(けどちょっと油っこい。笑)

ココナッツミルクと、砂糖だけで作られたアイスはシャーベットみたいですごく美味しかった。
タイならではのヴィーガンフードですよね。中の果肉も削って下に入っています。

この時ではないのですが、以前バンコクのローフードレストランでこの生のココナッツミートを麺状にしたパッタイ(タイの焼きそばのようなもの)を食べたことがあります。広がるココナッツの可能性!

お寺ではフリーのヴィーガンフードが。お参りをした後にいただきました。

コンビニまでもがチェー(ヴィーガン)フードを発売します。恐れ入りました。

ヴィーガン料理を作るときは、動物性の材料を「使えない」と嘆くのではなく「使わなくてもできる」といったポジティブな考えで楽しんでいただくのが一番です。食べる時も同じ、「食べられない」のではなく「野菜だけの料理を楽しむ」という考えでヴィーガン料理と付き合っていけたら、最高ですよね。

私はこれからロンドンでの料理教室を控えています。

また何か面白いヴィーガンフードとの出会いがあるのでは、と楽しみにしています!

またその時のことも書けたらと思っておりますので楽しみに待っていてくださいね。

次回は「私の20代の頃」という内容を中心に書きたいと思います。

 

Iina

 
次回のiinaさんの連載予定は12月10日頃になります。
是非、お楽しみに。

 
 

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