コラム&エッセイ

エディット・ジャパン 堺あゆみさんの素適な暮らしと40代からのチャレンジ Vol.1

フリーの編集者という肩書を持ちつつ、パレスチナからフェアトレードのフリーカを輸入されているエディット・ジャパンの堺あゆみさん。2人のお子さんを育てながら、起業をし、都内でご家族4人で素敵に暮らしている堺さんの噂を聞きつけ、インタビューをさせていただきました。子育てと仕事の両立は?夫婦仲良く、お互いがやりがいある仕事をしながら仲睦まじく暮らす秘訣とは?子供の教育や夫婦の形も気になるところ。パリのアパルトマンのような素敵なインテリアやセンスの良い暮らしにもフォーカスしてみました。

建物のたたずまいからして、まるで外国のような、都心とは思えない緑に囲まれ堺さんのご自宅。近所は閑静な住宅街で、建物の間取りは広くて、窓や天井も高く、過ごしやすさが際立つ作り。そこに堺さんの独自のセンスが加わって、玄関を開けると異国情緒溢れる素敵な空間に吸い込まれるように入ってきました。

Q すごく素敵なご自宅とインテリアですが、あゆみさんのセンスですか?

夫に相談することもありますが、だいたい私の好みで勝手にアレンジしてます。夫のことは尊敬していますが、インテリアとファッションに関しては趣味が共通しないことも多く・・・(笑)。小さな家具や雑貨などは旅先でもとめたものがほとんど。特にロンドンで暮らしていた頃にヨーロッパ各地のアンティークマーケットで買った物が多いですね。

Q ロンドンで暮らしていらっしゃったのですか?

はい、短い間でしたが。夫が研究職をしていたので、その関係で。20代後半頃、夫は2年、私は1年ほどロンドンで暮らしていました。その当時、奨学金をいただきたならアカデミックな世界で研究をしていた夫の収入は本当に寂しいもので…ラグジュアリーな暮らしや旅行からは程遠かったのですが、時間だけはたくさんあったので、お金をかけずに2人でロンドンを拠点にヨーロッパの様々な場所へ旅をしていました。

Q 旅がきっかけでこのような感性が磨かれたと?

元々、新しいものよりヴィンテージの建物や雑貨に惹かれる傾向があったのですが、古いものを大切にしながら新しいものを違和感なく組み合わせているヨーロッパ各地の建築物やインテリアを見てまわることで、触発されたかもしれません。半年ほど通っていた現地のインテリアデザインの学校や、アート作品に気軽に触れられる環境からも多くの学びを得ました。また、工夫とセンスで素敵な暮らしをしている人々、様々な価値観を持った人々に触れることで、お金を掛けなくても暮らしを楽しむ醍醐味も覚えました。

幼い頃からアートやインテリアが好きで、4.5帖の自分だけの小宇宙をあーでもないこーでもないとしょっちゅう模様替えしたり、デコレーションを変えたり、リビングの棚などを母に相談しながらアレンジするのが好きでしたね。編集の仕事などでプロのスタイリストさんやカメラマンさんの圧倒的な感性に触れると、自分のセンスのなさに愕然とすることもありますが、プロの方には到底かなわないので、ちゃっかり参考にさせていただきながら自分の「好き」を大切にし、それに囲まれて心地いい暮らしができていればOK!にしちゃってます(笑)。

「好き」という自分の直感を大事にしてセレクトしていくと、国やテイストがバラバラでも自然とまとまっていくのかもしれませんね。なんていうとカッコいいですが、ふだんは、子供のおもちゃが転がりまくっていることも多々(笑)。

Q 記憶に残っている旅は?

そうですね・・ベネチアのキャンプ場での出来事でしょうか。ベネチアと言えば水の都やベネチアングラスで有名で憧れの観光地だと思うのですが、私たちはいつも特に予定を立てずに思いつきで旅行していたので、ベネチア旅行もあてもなく急に思い立って鉄道で旅に出て、お金がなかったのでキャンプ場のロッジで過ごすことになってしまったのですね。地元のスーパーでチーズ、ハム、ワインを買い込んでロッジで寒さをしのぐという。あまりの寒さにトイレになかなか行くことができず、膀胱炎になってしまったという痛い思い出も・・・でも、ワインもチーズもすっごくおいしくて幸せで。若さもあったのかもしれませんが、豊かな旅でした。そんな貧乏旅行も今となってはいい思い出ですね。

Q 海外で暮らすと2人の絆が深まるということはありましたか?

うーん、どうでしょう。あまり考えたことはなかったのですが、やはり異国の地で暮らすということは何かと乗り越えなくてはいけないことがあるので、もしかしたら絆が深まっていたのかもしれませんね。旅行ではなく暮らしとなると、水道管工事の依頼ひとつにしても言葉や文化の壁があってなかなか簡単なものではなかったですし。

日本とロンドンで離れて暮らしていた時などは、当時はスマホや無料通話アプリ、SNSなどがなかったので、安く国際電話をかけるために、寒い中、アパートから離れた遠くの公衆電話まで日本時間に合わせて電話をかけに行ってくれていた夫の優しさが心に染みました。ロンドンの冬の寒さはこたえるんですよ。当時、編集の仕事に転職したばかりで寝食忘れて仕事に没頭していた私は、電話の途中で寝落ちてしまうこともあったのですが、仕事的にも金銭的にも辛いロンドン生活の中で唯一の励みになっていたと夫は今でもよく言ってくれています。

Q あゆみさんは旦那様のどこにひかれましたか?

うーん、なかなかちゃんと考えたことがないのですが、人間として尊敬できるところですかね。思いやりだったり、物の考え方だったりもありますが、ぶれない努力家ということ。もともと頭がいい人だなとは思っていたのですが、その裏には想像以上の努力と継続があって。私にはなかなかできないので(特に継続 笑)すごいなぁと。天才と言われると、夫はよく「僕は天才ではなく秀才です」と言ってます。私も「努力は裏切らない」といつも自分に言い聞かせて頑張るようにしています。

Q 現在のご主人様の職業は?

IT企業のサラリーマンです。長年アカデミックな世界に居て、日本の、主に大学を中心とする研究・教育の仕組みを変えたいという志を抱いていたようですが、28-29歳になって、そのためにはずっとアカデミックの世界にいるよりも、ビジネスの世界で成功する方がインパクトがあると考えたようです。ビジネスの世界に30代で初めて飛び込むことにはとても悩んでいましたが、「失敗したってなんとかなる、全部失ったら私が働いてなんとかする」と、わたしお得意の「なんとかなるさ~」と、根拠のない自信(笑)で、最終的には私が背中を押した形になりました。

そして30歳でコンサルティング会社に就職し、その後、現在のIT起業に転職をしました。コンサルティング会社の大先輩が、「堺君には●●社(そのIT企業)が向いている」と言ってくれたのがきっかけだったようです。

Q あゆみさんの方が大胆な性格ということでしょうか?

そうですね、普段の生活面では私の方が細かい事を気にする部分も多いのですが、進路や人生の岐路という意味では私の方がなんとかなるさ~的な部分を持っているかと思います。
実は、私の父が沖縄の伊是名島出身なのですね。「なんとかなる」が口ぐせだったり、発展途上国などに興味を持ったりと、おおらかでプリミティブな感覚というのは、沖縄出身で船乗りとして世界中を飛びまわっていた父の影響もあるのかもしれません。

素適な小物や雑貨が所狭しとちりばめられている。

キッチンでは仕事で知り合った知人から分けてもらった株で自家製コンブチャ(紅茶キノコ)を育てている。

パキスタンで買ったランタンと夫のモスクワ出張土産のマトリョーシカがお出迎え

旦那様がインドに単身赴任中に購入したガネーシャ

白で統一されたキッチンには世界各国の調味料やキッチン用品に囲まれていてワクワクする

こちらがフリーカとフリーカパフ。とっても香ばしくてサラダにかけたりそのまま食べたり

 
素適な家族と素適な空間。とっても憧れてしまうそんな堺さんの暮らし。次回は、堺さんのキャリアや子育てなどについてお伺い致します。

お楽しみに。

 
文・写真 : 伊藤芳子

 
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